ヘビロテ躁鬱女
「狂子、お前シーザーサラダ好きだったよな? 取ってやるよ、そこからは遠いだろう」


「……ううん、今はいいや。衣舞に取ってあげて……」


輝は目の前にあるサラダを口実に話し掛けてきたが、遠慮がちにそう答えると、瞳にまた冷酷な光を宿らせていた。


「輝さん。お願いします! 私はこっちのお刺身を取りますね、唐揚げも食べますよね?」


「あ、……ああ」


――安心して狂子。ウーロンハイの焼酎を濃いめに作って酔わせるから。


衣舞はそう小声で耳打ちをし、それを聞いた私は少しだけほっとした。
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