ヘビロテ躁鬱女
「衣舞、その前に私もトイレ。準備しなくっちゃ……こっちが酔っ払ったら洒落にならないよ」


衣舞の耳元で囁くと、ウインクで返された。安心して席を立つと、輝の背後を通り、赤い横顔を確認した。


――私の方を振り返りもしなくなった……かなり酔いが回っているみたいね。


ミャンマーの人達の後ろ、愛子、そして店長の後ろを通り抜けた。


すると右隣に居た新庄がこちらに気づき、ブランデーグラスを持ち上げた。


「狂子! チーッス! そっちは盛り上がってんのー?」


「新庄さん、ベロベロだねぇ! 呂律が回ってないよ!?」
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