【完】春紫苑
私はそう問いかけるように将光の目を見た。
そうだと言うように将光はゆっくりと瞬きをした。
その顔が、仕草がどこか色っぽくて不覚にもドキッとしてしまう。
「…何で私に決めさせるのよ?」
早くなる鼓動が将光にバレない様に私は必死に平然を装い聞いてみる。
顔は……赤くないかな?
こんな時に顔を赤くするなんて不謹慎にもほどがあるから。
そう聞いた瞬間、様々な方向を向いていたクラスメートの視線が私に集まる。
この感じ……嫌い。
私が決めるとか嫌だよ。
巻き込まないでよ。
「うーん……彼女だから?」
私の気なんて知らない将光は平然と答えた。
しかも
「………は?」
史上最強に訳のわからない答えを。
「いやいやいや、将光。普通彼女に決めさせたりしないでしょ?」
困っていた私に助け船を出してきたのは将光とつるむもう1人の人間、山城 駿(やましろ しゅん)。
背が高くて、端正な顔立ちをしていて、3人の中だったら一番大人っぽい。
正直、どうして将光なんかとつるんでるのか分からない。
……まぁ、それを言ったら彼女の私はどうなるんだって話なんだけどね。