【完】春紫苑
「そう思うなら尚更、将光の好きなようにしたら良いじゃん」
「そんなのこと言ったらコイツどーなっちゃうか知らないよ?」
将光は笑いながらそう言った。
でも、その目は笑ってない。
きっと私だけが見抜いているんだろうけど。
「……どーにかしちゃえば?」
面倒な私は冷たく言いはなった。
別に良いよ、眼鏡くんなんて。
それに私が何か言ったところで何も変わらないだろうし…。
「可哀想な奴」
そんな私の言葉を聞いた流がポツリと呟いた。
まるで感情がないみたいに、
天使のような顔立ちが嘘のように冷たい声で。
駿は近くにいたクラスメート二人に
「おいお前ら…こいつ殴れよ」
その端正な顔立ちが嘘のように。
二人のクラスメートは固まり、眼鏡くんは助けてくれと言うように顔をあげて駿を見る。
彼らがクラスメートに恐れられてる理由。
それは、ただ怖いとか私と仲が良いとかそれだけじゃないと思う。
三人とも美しいからこそ、怖い。
美しい顔が感情を持たず無になったとき、人間は本当の恐怖を知るのかもしれない。
…少なくとも私は彼らを見ていて、そう思った。