暗闇の鎌【読みきり短編集】
「……んっ、どうかな」


安っぽい四角い手鏡に、方目を覗き込んだ。パチクリと瞬きを繰り返すが、やや動きが鈍い。いつもより断然、重かった。


「塗りすぎた? ……でも綺麗になるんだし良いよね。効き目抜群で助かったけれど、これともいずれは決別をしなきゃいけないんだし――」


マジマジと中身が無くなったマスカラを、親指と人差し指で挟み転がした。


軽い。そんな状態を感じつつ、この先の空想を繰り広げる。


翔太君と別れたら? それとも結婚できて一緒にいれたとしたら? 


でも……一重は絶対に隠せない。隠し通せるものでもない、整形でもしないかぎり……でも、いざ整形をしたとしたら会社のみんなが――


ループだった。負の感情の繰り返し。
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