無力な僕らの世界と終わり




「ごめんね、ひよは、瑠樹亜と一緒がいいよね」


「……そんなこと」


あるけど。
けど、もちろん言えない。

あたしの顔を遠慮がちに覗き込む美山さんの表情は。
何だかとても、切なそうで。

言葉にしてくれなくても、よく分かってしまう。

あたしを、必要としてくれているということが。


「……何か、あったの?」


だから、そう聞かずにはいられなかった。
聞いてほしいんだって。
痛いくらいに伝わってくるから。


「……うん」


そう小さく頷いて、美山さんは窓の外を見た。

今日はくもり。
もしかしたら、雨が降るかもしれないからって。
お母さんが折り畳み傘を持たせてくれた。


向こうの方に、どっしりとした黒い雲がある。

あれはきっと雨雲で。
これから雨を呼ぶんだって。
そんな気がしている。




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