無力な僕らの世界と終わり




「用があるなら、言えば?」


そう言って冷酷な美男子は、顔を背ける。


ガサガサガサ……

そうしてコンビニの袋から出てきたのは、赤いパッケージのチョコレート。



「ちょ、チョコレート、好きなんですか」


「あ?」


我ながら、ひどい質問だと思った。

瑠樹亜と話すのは、あの、入学式の日以来。

二年になって同じクラスになって1ヶ月。
まともに会話なんかしたことなくて。


第一声が、これ。


「いや、いいです。すみません」


あああ。
顔、絶対、赤くなってると思う。
そして、声が枯れてるし。
汗出てるし。
やばいな、変な女だ。


キモいとか言われちゃうかな。
あっち行け、とか?


「食う?」


緊張のあまり倒れてしまいそうなあたしの耳に届いたのは……
まさかのセリフ。



「ま、ま、ま、マジですか……」


今度は嬉しすぎて。
ちょっとめまいがする。





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