無力な僕らの世界と終わり





「あ、ごめんなさい!」



向こうも驚いてた。

そうだよね。

鼻の両穴からティッシュ出てる人が寝てたわけだし。

制服は血で汚れてるし。



「あ」


よく見るとカーテンを開けてビックリしているのは。

F組の美山さんだった。



凄い偶然。
我ながら、できすぎてる。



「ひょっひょ!!(ちょっと!!)」


勢いよくカーテンを閉め直して、保健室を出ようとしていた彼女を呼び止める。


あ、いけない、いけない。

こんなのが鼻につまってたら、何言ってるかわかんないや。


あたしは鼻をふさいでいた2つのティッシュを抜き取る。

うん。
だいぶ止まった。

こよりの先はカラカラだ。



「あ、西川ちゃん、職員室に用事あるって。
それから、あたし、もう教室戻るんで、よかったら、ベッド」


しどろもどろなあたしをガン見する美山さん。


「あ、うん。……ありがとう」


そう言って、ふわり、と笑う。


どうしよう。
めっちゃかわいい。


切り揃えられた前髪に、太めの眉毛。
のんには負けるけど、睫毛も長そうだし。
頬は適度にピンク色で。
口は女子憧れのアヒルちゃん。

黒い長い髪が、よく似合ってる。




< 26 / 215 >

この作品をシェア

pagetop