無力な僕らの世界と終わり






る、瑠樹亜ってば。
まさか、あんな歳上の女性とも……

なんて、あたしがいけない妄想をし始めた頃。


「ほら、瑠樹亜、早く。お母さん、ちょっと急ぐから」


颯爽と車から降りてくる女性。

膝丈の、柔かな白いワンピースを着ている。
そこからさらに白くしなやかに延びる腕と脚。

スタイルも抜群だ。

大きなサングラスも、高級そう。


って、え?
お、お、お母さん?


目がテンになりながら突っ立っているあたしは誰にも気が付かれないまま。


仕方なしに車に乗り込む瑠樹亜。


ブウウウウン……


赤い高級車はUターンして、あたしの横を通り抜けて行く。


近くで見たら、あたしでも知っている高級なドイツ車だった。

太陽の光を浴びて、赤く、赤く、光っている。


何となくそんな感じはしていたけど。
瑠樹亜の家ってば、お金持ちなのね。

消費税が上がる前にとか何とか、慌ててファミリーカーを全額ローンで買った我が家とは大違い……





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