無力な僕らの世界と終わり




あたし、お母さんの行動の8割は予測できるような気がする……

弟の太陽(たいよう)より絶対わかりやすい性格だ。

我が母親ながら、小学生よりわかりやすい思考回路ってどうなのよ。



さっき見た真っ赤なベンツの眩しさと、半額の牛乳。
ブランドもののサングラスと、安っぽいヘアピン。
整えられたウェーブと、伸びきった髪。


ああ。
もしあたしと瑠樹亜が結婚することになったら、とんでもない格差婚だな。

まあ、あり得ないだろうけど。



あたしは食パンの袋を握りしめながら、今日一日の出来事をもう一度噛み締めようと、二階へと上がる。


ベッドの上に寝転んで、行儀が悪いけどむしゃむしゃと食パンをかじった。


目をつぶって、瑠樹亜の顔を思い描く。
瑠樹亜の声を、何回も何回もリピートする。

かっこよくて冷たくて。
冷たくてかっこいい。

ニヤニヤしたりイライラしたり。
そのうちに、うとうとして。

スマホが鳴って目が覚めた。

のんからのラインだった。





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