無力な僕らの世界と終わり





そんな時だ。
のんが転校して来たのは。

のんはあっという間にクラスに馴染み、あっという間に人気者になった。


かわいらしい見た目。
愛嬌のある笑顔。

のんのお母さんは手芸が得意で、のんの持ち物はみんな可愛いハンドメイド品だった。


花柄のポーチ。
パッチワークの体操着入れ。
レースとギンガムチェックのペンケース。
チロリアンテープの髪どめ。
指定鞄には小鳥のブローチ。

そのどれもが、女子達の目をひいた。

みんな羨ましがった。

それを鼻にかけなかったのんは、益々女子に気に入られた。


「のぞみちゃんみたいになりたい」


誰もがきっと、一度はそう思ったことだろう。

あたしだって、ちょっとだけ思ったくらいだもん。





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