廓にて〜ある出征兵士と女郎の一夜〜
『戦争が終わり、新しい世の中になればきっと、幸せが待っていますよね。お陽さん』
凛々しい眉、スッと通った鼻筋、まるで女形のようにふっくらとした唇。
お陽は行灯の明かりに照らされた悟の顔に惚れ惚れとしていた。
細い指で一つ一つ確かめるように触り、
『兵隊にしちゃ、勿体ないねぇ。あんたと一緒に人生を歩める女は、幸か不幸か紙一重。
あたいにゃ、縁のない話。一夜限りで果報者だよ』
いつの間にか、東の空が白んできた。
二人は別れを惜しむかのように、また身体を重ねるのだった。