ニ択(止めた手から)
幾多はワゴン車の横を通り過ぎた。

すると、今度は乗用車が、幾多の横に止まった。

「お願いします。乗って下さい」

「わかったよ」

幾多は、車に乗り込んだ。


「幾多様」

運転する女に、幾多は話し出した。

「あの代議員の本音は暴露され、あの少年の大切な彼女を虐めている…屑の娘は、そんな暇がなくなるだろうよ。悲劇のヒロインになるか…新しい虐めの対象になるかは知らないけど」

「しかし…」

「悲劇のヒロインになるようなら…処置をするよ。少年の為にね」

幾多は、服の中に隠している銃を確認した。

「幾多様」

「お前の言いたい意味はわかる。何故、屑の周りにいる人々を巻き込んだかだろ?」

幾多は、前を見た。

「この国の普通の人間は、選挙にいかない。だから、屑が政治家になり、屑を応援するゴミが得をする。だから、今回の件で知ってほしい。ゴミの存在をな」

ばら蒔いたチラシには、代議員の矛盾と悪行…よりも、彼を支援する人々の存在を強調していた。

「まだいくところがある」

幾多が、女に指示しょうとした瞬間、車は右に曲がった。

「おい」

違うと言おうとした幾多を、女はハンドルを握りながら答えた。

「幾多様。あなたはもう1人ではありません。代議員の支援者の中でも問題がある残りの者達は、あなたの支援者が何とかします」

「まったく」

幾多は座り直すと、深々とシートにもたれ、

「彼らには、絶対に人を傷付けさせるなよ。それをやるのは、すべて僕の役目だ。美しき人は、常に心を痛めている。そんな彼らに、さらなる負担を強いることはさせれない」

「はい」

幾多の言葉に、女は頷いた。

「今回のことで、普通の人々が選挙に行ってほしい。一部のゴミに、世界を動かされたくないならね」

幾多はゆっくりと、瞼を閉じ、しばし休むことにした。





幾多から別れ、家に着いた少年は、襲撃事件を知り…唖然とした。

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