くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
「瑠璃は村のはずれの洞にひとりで住み、赤子が生まれる事だけを楽しみに懸命に生きた。
村人から村八分にされ、迫害される日々じゃったが、瑠璃は龍神に恋したことに後悔はしなかった。

しかし、その年はまったく雨が降らずに日照り続きで飢饉の危険性が高い。その上流行り病で次々と弱い者が亡くなる。
悲嘆に暮れた人々は、その恨みつらみを瑠璃へと向けた。
龍神を瑠璃が怒らせた、もしくは悲しませたからこうなったのだ、と。

むろん濡れ衣に過ぎない。

じゃが、狂信的になった群衆にはなにも聞こえぬもの。

娘を勘当したものの、心配した父親は密かに瑠璃に逃げるよう伝えに走るが、それを裏切りとされ……父親は瑠璃の前で斬り殺された。
そして瑠璃は縛り上げられ、龍神への生け贄として海に連れてこられた。

龍神は真相を知り、逆鱗に触れ怒り狂った。

怒髪天を突き、雷神を従え嵐を起こし海を荒らし暴れ出した。

しかし、その怒りが更に瑠璃を追い詰めた。

人々は瑠璃を石にくくりつけ、海に沈めたのじゃ。

龍神が救った時には既に手遅れじゃった……。

おまえを愛さねば、と嘆く龍神に瑠璃はこう言い残した」
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