くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
あたしが黙り込んでるのを気にしたのか、勇人は少し自虐的な口調で訊いてきた。


「こんな俺が嫌になったか?」


違う……


あたしが黙ったのはそんな理由じゃないよ。


あたしはホタルに照らされた勇人の横顔を見上げて言った。


「違うよ、あたしは嫌になんかならない。過去は誰だってあるけど、勇人は今こんなに素敵な人になってるじゃない。
それに、あたしは勇人の過去に何があってもこだわらない。
それに、正直に打ち明けてくれて嬉しかった。
ありがとう」


どうか、どうか。


勇人にあたしの気持ちが伝わりますように。


あたしはそう願いを込めて勇人の指をぎゅっと握りしめた。


「瑠璃香……」


勇人がこっちを見てるのがわかる。


暗闇でもあたしを見てくれる。


ドキドキと心臓が高鳴った。


川のそばでひんやりした涼しげな空気なのに、あたし達の回りだけが日中の熱を纏うよう。


つと、勇人が口を開いた。


「入院してる時あんま記憶がないんだけど、ひとつだけはっきり覚えてるんだ」
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