くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
「それは、あのおばあちゃんが俺に言ってたこと。
『あんたが来るのはまだ早いよ。お帰りなさい』ってさ。
なんか俺が意識不明になる度に見てたらしいんだ。
あの夏の日に戻って懐かしさに駆け寄ると、どうしてかおばあちゃんはそう言って俺をたびたび追い返した。
そん時はどうしてかな、と思ったけど、考えたら当然だよな。
たぶんおばあちゃんはあの世の境目にいて俺を入らせないようにしたんだと思う。
……おばあちゃんはそうやって俺を守ってくれたから、俺も誰かを守りたかった。
だから、おばあちゃんからよく聴かされた自慢のひ孫を守ろうと思って山潮に来たんだ」
「え?」
勇人があたしをまっすぐに見る。
自然と鼓動が早くなる。
「鈴本 美代おばあちゃんはよく話してたよ。ひ孫の中じゃ瑠璃香がかわいいって。
自分の若い頃に似てるからって……ペンダントを見せてくれた。
もしも自分に何かあれば形見として瑠璃香にあげるけど、良かったら俺に瑠璃香を守ってくれないか。そう言われたよ」