くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
野島はあたしの家まで背負い送り届けてくれた。
あたしを玄関で下ろした野島は、こちらを見ないままつっけんどんに拳を差し出した。
「ほら」
「え?」
あたしが手を出すと、サラリと涼やかな音を立てて、あのペンダントが手のひらに落ちてきた。
「今度から気をつけろよ」
野島はぶっきらぼうにそう言うと、あたしと目を合わせようとしないで踵を返した。
その刹那――
茜色と薄紫色が混じり始めた黄金色の空に、なぜか野島の姿が溶けて消えてしまいそうに感じた。
「待って!」
あたしは痛む足を庇うことも忘れ、野島の後ろ姿に駆け寄った。
彼が振り向いた瞬間に痛みが甦り、思わずしゃがみ込んだら、野島は呆れたような声を出す。
「バカ、何やってんだよ……ほんと手が掛かるやつだな、鈴本は」
そう言いながら、野島はあたしの背中と腰に腕を回し、そのまま抱き上げてくれた。
うわ……
これってもしかして、いわゆる「お姫さま抱っこ」ですか!?
かああっと頬が染まってるのが自分でもわかって、あたしは慌てて顔を背けた。