くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
「まあね。この少子化じゃ5人兄弟なんて珍しいんだろうけど、和也兄さんの上にまだお兄さんがいるんだ。
短大を出てから東京で働いてるから、ここにはいないけど」


「6人もきょうだいがいるんだ……」


「そ。それに、うちはおじいちゃんおばあちゃんも一緒でしょ? 賑やかなもの……いでっ!」


「くらえ! どらごんばすた~!」


さっきなでなでしてくれたクセに、香澄はそれを忘れたようにあたしにパンチを食らわしてきた。


最近ハマってる特撮ものの技なんだけど、3歳児とはいえ子どもの力は侮れない。


「こらっ、じっとしてなさい!!」


あたしが押さえつけようとすると、香澄はあたしをぽかぽかと殴る。


「現れたな、フグ星人め!」


「ふ、フグぅ!?」


香澄の台詞を聴いた野島が忍び笑いをしてくれたのが視界の隅に見えたし!


「ではフグ星人さん、オレはお先にお風呂をいただきます」


く……悔しい!


香澄が暴れまわってなきゃ、何か投げてやったのに!


「何よバカ!あんたなんか今日お客さんの頭にアイス載せてたクセに」


あたしが後ろから怒鳴りつけたら、お母さんにポカリと頭を殴られた。


「こら! 恩人に向かってなんて口をきくんだい」
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