くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
ぐわらっ、と大きな音を立てて襖が開き、とびっきりの声が部屋に響いた。
「瑠璃香ぁ、スイカ食べなっせぇ」
そう言って遠慮なく部屋の中に入ってきたのはおばあちゃんだった。
だけどうちは大家族だし、スイカ好きが多いから、あたしのところに二度持ってこられるとみんなの分け前が減っちゃう。
「え、おばあちゃんどうして? スイカなら野島くんが」
そう言ってあたしが枕元に置いてあるスイカを示すと、おばあちゃんは声を潜めて教えてくれた。
「瑠璃香さぁ、元気なかったからのぉ……このスイカば、わしのじゃけえ、遠慮しんとたんと食べぇな。わしは腹いっぱいじゃけ」
おばあちゃんは正座してそう言うと、あたしの頭を撫でてくれた。
「瑠璃香さぁ、いつもなんか溜め込むけ、吐き出さないかんでな? ばあちゃんも聴くさ、そこのミコに聴かせるばよけ」
「ありがとう、おばあちゃん」
おばあちゃんの手は長い間働いてきたし、年だからごつごつしてて不格好だけど、その温かさは直に触れられずとも肌を通して感じられた。
おばあちゃんは気付いててくれたんだ。
そして、こうやってこっそりお菓子や何かをくれて励ましてくれる。