くるうみ。~あなたと過ごした3日間~




美紀さんの顔パスであたし達は二階の見晴らしのいいテラス席を用意してもらえた。


潮風を受けて海や山が見渡せる最高のロケーションに、美味しいお料理。それにすぐそばに明石先輩。あたしの機嫌も直るってものだわ。


「……ほかった?リセット?? どういう食べ物だこれ?」


……前言撤回。


野島のバカがいたわ……。


「あのね……ほかったじゃなくて、フォカッチャ。イタリアの薄く生地を伸ばして焼く惣菜パンのこと。
それにこっちはリセットじゃなくてリゾット。
イタリアの雑炊みたいなお米料理」


あたしが解説するたびに野島はいちいち感心してうんうんと頷いたり、ほお、へえと大げさに驚く。


「鈴本すげえな。そんなによく知っててさ」


「別に……これくらい普通じゃない」


手放しに褒められるのは慣れてないから、どこかこそばゆく感じたあたしはぷいとメニュー表に見入る振りをした。


あたし……おかしくないかな?


顔がこんなに熱くなるのも心臓が狂うのも、きっと明石先輩がそばにいるからなんだ……。


メニュー表で顔を隠しながら上目遣いに先輩を見たら……。


バッチリ目が合ってしまいましたあああっ!!


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