予言と未来



何が起こったのか状況が掴めないまま、ライネスは剣で急所を護る。



剣に がつんと、拳が当たる音が聞こえた。



「いってェ!!」



ウィンは叫ぶと素早く距離を取る。そのスピードにライネスは驚く。



ウィンとライネスの間に距離が空く。彼は脇腹に攻撃を喰らった為、ごほごほと咽(むせ)た。



「な……っ。」



「へっへ~ん、驚いただろ~? 昨日の夜 風の神霊と契約したんだ!」



「……げほっ……。」



「神速って ゆうんだ。名前の通り、強力なスピードが出せる。」



咳き込むライネスに自慢げに語るウィンに、愛光とリホは苦笑する。



「ウィンって子供なんだねェ。」



「アイカさんも そう思います?」



観客席に居る愛光とリホの会話は、ウィンとライネスには聞こえないだろう。



「ライネス、あんただってスピードは そこそこ在るけどさ、あたしはグリフォンだし、神速には敵わないよっ!!」



そう言ってウィンがライネスに向かって飛び出した瞬間。



彼は ふっと、小さく笑った。

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