予言と未来
「さぁ、話は これくらいにして、皆の怪我の手当を しよう。俺は雷龍君の治療を するから、レイムは皆を お願い。」
その言葉にレイムは頷き、愛光に近付いた。それを見届けてから振り返ったルーヴは、ライネスの様子に気付いて、はっと息を飲んだ。
ライネスは、自らの肩を抱え、小さく震えていた。それでいて、何もかもを拒否するような、暗い瞳を していた。
「……雷龍君?」
「来るなっ!!」
ライネスが上げた声に、愛光達は驚いて振り返る。
「く、来るなって言われても、治療しないと……。」
「……良い。このままで居れば、死ねるだろ?」
その言葉に、ルーヴ以外の皆が息を飲む。
――俺さ……誰かに殺して貰えるのを、ずっと待ってるんだ。
魔法大会で聞いた、ライネスの言葉。
(……やっぱり……。)
あれは、彼の本音だったんだ。
「……そんな事 言っちゃ駄目だよ。早く治療しないと……。」
「来るなって言ってるだろっ!!」
一歩 近付いたルーヴに、ライネスが叫ぶ。
その悲鳴のような声に、誰も動けなくなった。