予言と未来
☆
愛光達の元を逃げ出して直ぐ、ライネスは立ち止まった。
あんな事を叫んで逃げ出したは良いものの、彼自身、今の状態で長く走る事が無理な事は、解っていた。
直ぐ近くの木に凭れ掛かり、ぜぇぜぇと荒い呼吸を整えようとして。
「………っ……がはっ!」
肺から血が込み上げて来て、赤い塊が地面を べしゃっと濡らした。
(……ああ……マジで、死ねるかも……。)
霞む視界に、それを捉え、ライネスは ぼんやりと思う。
――生きて。
もう遠い記憶となってしまった、彼女の声。
(……約束、守れなくて御免……。)
彼女に向かって、ライネスは謝る。
(……でも、これで漸く、貴方の元へ、行けるんだ……。)
―― “姉さん”……。
遠のく意識に身を任せ、ライネスが目を瞑った その時。
「ライネス!!」
高く澄んだ声が聴こえた。