予言と未来







愛光達の元を逃げ出して直ぐ、ライネスは立ち止まった。



あんな事を叫んで逃げ出したは良いものの、彼自身、今の状態で長く走る事が無理な事は、解っていた。



直ぐ近くの木に凭れ掛かり、ぜぇぜぇと荒い呼吸を整えようとして。



「………っ……がはっ!」



肺から血が込み上げて来て、赤い塊が地面を べしゃっと濡らした。



(……ああ……マジで、死ねるかも……。)



霞む視界に、それを捉え、ライネスは ぼんやりと思う。



――生きて。



もう遠い記憶となってしまった、彼女の声。



(……約束、守れなくて御免……。)



彼女に向かって、ライネスは謝る。



(……でも、これで漸く、貴方の元へ、行けるんだ……。)





―― “姉さん”……。





遠のく意識に身を任せ、ライネスが目を瞑った その時。



「ライネス!!」



高く澄んだ声が聴こえた。

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