緑色少年

「もういいよ・・・そのことは」

すっかり意気消沈している私に、美奈子は


「この前、1組の女子生徒が目撃したらしいのよ」

「・・・目撃?緑色少年って、本当にいたんだ?」

「さあ、どうかしらね。詳しいことはまだ分かってないけど、その子の話だと一階の準備室で見たらしいわ」

「・・ふーん」


一階の準備室って、今は全く使われてないところだよなあ。

立ち入り禁止だから、鍵もかかってるはずなんだけど・・・


「ねえ、葵」


美奈子の眼が、悪戯に光った。

・・なんか、すごい悪い予感が。


「・・なんでしょう、美奈子さん?」

「噂が嘘か真実か、確かめてみましょうか葵さん?」


きっと、ていうか絶対、拒否権は無いんでしょうね。

うん、わかるよ。長年の付き合いだもん。

楽しそうに口元を歪ませる美奈子に対して、私は遠い目で乾いた笑いをこぼした。




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そして、放課後。

校内に残る生徒達(部活をのぞいて)がほとんどいなくなったところで、美奈子と私は教室を出た。

目的はもちろん、昼休みに美奈子の言ってた「緑色少年」の噂を確かめるため。


どうやら、一階準備室にいるみたいだけど・・・。


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