今すぐここで抱きしめて
そう言うと、スタスタと外へ出て行ってしまった。


「なんかいい雰囲気だね」


心なしかニヤニヤしているマスターをじっと見つめたあと、私も店の外へと向かった。


「ちょっと、飯田くん!」


既に駅の方へと歩き始めている飯田くんを捕まえると、さっき財布から取り出していたお札を差し出した。


「いらないですよ。僕が待たせたんですから」


「でも、勝手に飲んでたわけだし」


「じゃあ、今度奢ってください」


……今度? 次があるの?


「今から行くお店じゃなくて?」


「ご飯なんて奢ってもらったら多すぎます」



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