今すぐここで抱きしめて
「そんなのやってみないと分からないじゃないですか。仕事も、俺とのデートも」


「……っ」


真剣な顔でそう言う飯田くんに何も言えなくなってしまった。


どうして、こんな私にそこまで真剣になれるのか、考えても全然分からなくて返事なんてできなかった。


「それに歩美さんは断れませんよ」


「えっ……」


呆けている私をよそに飯田くんはスッと立ち上がると、


「お願いします! 僕にチャンスをください!!」


大声でそう言い放つと深く頭を下げた。


その声に反応するように衝立の向こうが騒がしくなって、


「ちょっ、ちょっと止め……」


恥ずかしさから慌てて頭を上げさせようとしても、飯田くんは一向に動かなかった。


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