水ノ宮の陰陽師と巫女
雅人は、倒れている楓に駆け寄り何度も名前を呼んでいた。

だが、楓からの返事はない。

「僕がもう少し早くついていれば……」

体の中から絞りだすような声で言いながら、楓の左腕の装束の袖を破り、出血を止めるために腕に巻きつけていた。

とにかく今は楓を家に運ばなければ!

雅人は楓を背負い、足早に公園を後にし、水ノ宮神社へと向かった。
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