社内人気No.1のアイツに不意打ちで愛されています。



「…っ…、」



シャツがほぼ脱げかけたところで、不意に止まる手。



「…本気?」



その言葉は、やめる合図。

押し倒す形のままこちらを見る目は、冷たくも笑ってもいない。



「…私、あなたを見ていて思ったことがあるんです」

「…?」





彼の一つ一つを見て触れて、知ったこと





「氷室さんは、最低で、嫌な人で…優しくて、臆病な人だって」





臆、病





「…何の話」

「氷室さんは、いつも遊びで本気にはならなくて…安全な所にいる」





『こんな気持ち、無駄だと思った』





「本気にならなければ傷付かない。割り切れる。いつだって逃げられる」



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