Summer again with


その目は、気まずそうに横を見ていて。


『…勉強、するんじゃないの?』

思わず、声が震える。

ナツは『こんな暑いなか、ずっと家にこもってなんかいられるか』と愚痴をこぼした。

『…息抜きに来たら、なんか辛気臭い顔してる奴がいるから』

…だから。

『だから、声かけてくれたの?』

去年の、夏みたいに。

ナツは罰の悪そうな顔をして、頷く。

私は嬉しくて、目一杯笑った。



ナツは隣に座ると、私の手からかき氷をとって、食べる。

『あ』

『久しぶりにかき氷食べた』

はは、と笑う彼に、心臓が鳴る。

…ああ、ナツだ。

ナツだよ……



『こないだはごめん。勉強ばっかでイラついててさ』

ほんと受験って嫌いだわー、とナツが海を見ながら言う。

『ううん…私も、ちょっとウザかったかも』

テンションが、あまりに上がりすぎて。

ナツは、ふは、と笑って、私の頭を撫でた。


『また会えてうれしーよ』


…変わらない、笑みに安心した。

去年よりも大人っぽくなった姿に、寂しくなる。

私も、頑張ったんだけどな。

頑張って追いつこうとしても、彼は止まってくれない。

私がやっと高校生になるとき、ナツは大学生、なんて。


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