Summer again with
その言葉は、現実逃避をしに来た私をどん底へ落とすもので。
『…そ、そうだけど……』
ちょっとでいいから、話がしたいのに。
話せたら、勉強しにおじいちゃん家に帰るから。
けれど、ナツはもっとショックなことをいった。
『…悪いけど、今年はあんま遊んでやれない。お互い、勉強しよ』
……そんな。
嘘でしょ?
思わず涙ぐむ私の目を見て、一瞬ナツの顔が曇る。
けど、すぐに私から目をそらした。
そして、すたすたと歩いて行く。
砂浜に置き去りにされた私は、呆然として立ち尽くしていた。
…ちょっとくらい、話してくれてもいいじゃんか。
『…ばかぁ…』
それから二日間、私は海に行かなかった。
*
おじいちゃん家に来て三日目。
海に行くと、やっぱり人で溢れていた。
『…………』
…つまんない。
ナツがいないと、つまんないよ。
とぼとぼと堤防へ歩いて行って、ぼうっと海を見る。
…来年、会えるって言ったじゃん。
それだけ楽しみに、一年過ごしたのに。
この二日間、悔しくて膨大な量の課題を一気に進めた。
でもやっぱり寂しくて、海に来ちゃったけど。
ぶどう味のかき氷片手に、足をぶらぶらさせていたら。
『…また、つまんなそーな顔してる』
声に、目を見開く。
ぱっと横を見ると、近くでこっちを見つめるナツの姿があった。