Summer again with



『…わかってるもん。ナツは、私のことそんなふうには思ってないでしょ』

唇を尖らせて言うと、ナツは苦笑いしながら『そーだね』と言った。

『どっちかっていうと、妹みたいかな』

…わかってる。

けど、伝えたかった。


一年ナツのことを思って、頑張った私に、ご褒美として。

少しだけしょぼんとする私を、ナツはじ、と見つめる。

彼を見ると、綺麗な瞳とぶつかった。


『…十七に、なったら』


呟かれた言葉に、私は眉を寄せる。

十七に、なったら…?

ナツは少し真剣な顔をしたあと、ふ、と微笑んだ。


『…未海が十七になったら、考えてやるよ』


…えっ…


『ほっ、ほんとに!?』

目を見開いて身を乗り出すと、ナツは優しく笑った。

『そんときになんなきゃ、わかんないけど』

『ううん!嬉しい!頑張る!私、頑張る!』

十七に、なったら。

あと二年したら、ナツにもう一度告白できる。

そのとき、いい返事がもらえるように。


『その前にお互い、受験だけどな』

遠い目をするナツに、一気に元気を取り戻した私は『大丈夫!』と叫んだ。


『受かるよ!私、勉強頑張るから!来年、笑顔で会おう!』


私の言葉に、ナツが目尻を下げて笑う。


『未海、それ約束な?』


受かってなかったら会わないから、というナツに。


< 20 / 30 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop