Summer again with


私は眉を寄せて彼を見つめると、『涼んでるだけです』と短く返した。


そのひとはしばらく私をぽかんと見つめたあと、何故かにっこりと笑った。


『可愛いね、高校生?』


…え。

なにこれ、ナンパってやつ?

慣れた感じの、典型的なセリフ。


…っていうか、その前に。

『…中学生、ですけど』

こちら、十四歳、中学二年生です。


私が嫌な顔をして返すと、彼は『ええっ』と、大袈裟なほど驚いた。


『まじか!大人っぽいな』


…よく言われるけどさ。

なんか髪下ろしてると、大人っぽいねって言われる。

身長も低い方ではないから、実年齢より上に見られるらしい。

…それって、あれでしょ。老けてるってことでしょ。


『…中二です。高校生じゃ、ないです』


残念だけど、私は中学二年生のガキんちょなので。

みたところ高校生のあなたには、できれば他を当たって欲しいんだけど。

どこかへ行くだろうと思って彼から目を逸らすと、なにを思ったのか、その男の人は私の隣の岩に座ってきた。


『泳がないの?』


……ほんとに何、このひと。

眉を寄せながら、横目に隣を見る。

『…泳げないんで』

『まじで?教えようか?』


…年下好き、とか?

綺麗な顔立ちのそのひとは、間近で見ると少しどきりとする。


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