悪魔の彼





その瞳にあったものは静かだが深く恐ろしい感情だった。



さっき、すき放題に怒鳴り付けた王達でさえ黙り込むほどの迫力だった。




例えるならばまるで、蛇に睨まれた蛙……いや、それ以上だろう。


そんな人々を尻目に、フランテは冷たく言い放った。



『殺しなさい。元々そのつもりなのですから。わたくしを殺せばこの戦争は終わるのでしょう?王様がた?』





冷たい





寒気がした。




ゾッと背筋に鳥肌が立った。





あの優しく柔らかい物腰で謝罪した彼女の声ではなかったし、姿でもなかった。


不敵な笑みのそのかおは、まるで別人だった。









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