素敵な上司とキュートな部下
加奈子は、香川の存在が気になりつつも、月報のチェックに精を出した。最後のページに差し掛かり、もう間も無く終わるはずなのだ。


しばらくして、未読のメールを一通り読み終えた香川は、パソコンの電源を落として立ち上がると、下を向いてまだ頑張っている加奈子の傍へ行った。


「僕の方は終ったけど、君はまだ終わらないのかい?」


香川はそう言ったが、もちろん加奈子を責めているのではなく、彼女を気遣っての言葉だ。


「もう少しです。大事なメールは来てましたか?」

「うん、まあね。もっとも、今夜読む必要のあるメールは無かったけどね」

「そうですか。でも、これで安心出来ますね?」

「その通りだね。ところで君はどんな仕事を……って、月報のチェックか!?」


加奈子が月報に赤を入れている事に気付いた香川は、思わず驚きの声を発した。


「はい」

「なんで君が……」

「西村さんから頼まれたんです。嶋田君がいないからって。明日までと言われたんですが、明日の何時か分からないので、今日中にやってしまおうと思いまして……」


香川は壁に掛けられたカレンダーに目をやった。香川の知る限り、月報の締切は明日の夕方のはずだった。

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