素敵な上司とキュートな部下
「もう帰るの?」

「そうですよ?」


大輔は本気らしく、穂奈美を祐樹に渡し、早くも立ち上がっていた。


「そう言わずに、お昼を食べて行って?」


と志穂は言ったのだが、


「すみませんが今日はもうこれで……。主任、行きましょう?」

「わ、私はまだいいわ。もう少しおじゃましてから帰る」

「ダメですよ。約束したんだから、主任に拒否権はありません」

「約束って……きゃっ」


大輔に手をぐいと引かれ、加奈子は強引に立たされてしまった。


「志穂と話したい事があるのよ……」

「それは今度という事で、さあ行きましょう?」

「ちょ、ちょっと……」


加奈子は、大輔に背中を押されながら、恨めしそうに志穂を振り返ったが、志穂は苦笑いを浮かべて首を横に振った。


「加奈子、後で話を聞かせてね?」

「志穂……」


慌ただしく帰って行く加奈子と大輔を見送ると、


「どうなってんだ?」


と祐樹は言った。


「さあ……。でも、どうやら来たみたいだわ」

「来たって、何が?」

「モテ期よ。加奈子にようやくモテ期が来たのよ」

「そうなのか?」

「間違いないと思う。営業部長の香川さんって知ってるでしょ? 彼もどうやら……」


といった会話があった事を、もちろん加奈子は知らなかった。自分にモテ期が来た事も……

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