素敵な上司とキュートな部下
高速道路は時間帯がずれたおかげで比較的空いていて、大輔の車は追い越し車線をかなりのスピードで走っていた。


「あまり飛ばさないでね?」

「あ、はい。これでも僕としては抑え目のつもりなんですが、ついスピードが出ちゃうんですよね、この車……」

「そうなんだ……」


加奈子は上半身を大輔に寄せ、スピードメーターを覗いてみた。メーターの針は、制限速度を大きく超えたところを指していた。


「これで抑え目なの?」

「え?」


と横を向いた大輔の顔は加奈子の顔にとても近く、ちょっと口を突き出せばキス出来てしまう程で、加奈子はドキッとしながら慌てて元の位置に体を戻した。


「す、少しスピードを落としますね?」


そう言って、車を走行車線に戻した大輔も、実はドキドキしていた。それを隠すかのように、


「今日は嬉しいなあ」


と、明るい声で言った。


「まさか、こうして主任とドライブが出来るなんて思いませんでしたよ……」

「そう? あの……」

「はい?」


加奈子は、このタイミングで聞いてみようと思った。勝負に勝ったご褒美とは何なのか。大輔は自分から何をもらうのかを……

加奈子は、自分の体ではないかと想像したのだが、どうもそうではないような気がしてきた。その可能性は、完全に消えたわけではないのだが。

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