『一生のお願い、聞いてよ。』
気が付くと、あたしは病院らしきところのベッドに寝ていた。
誰もいない。
あたし…
「っ…!!」
体を動かすと、また子宮が痛んだ。
パタンとベッドに横になった。
このまま死ねたらいいのに。
勇治と真央を後悔させてやれるのに。
あたしを裏切った罰として
あたしが死んで、呪って…
なんてことを考えてた。
ガラガラガラ
部屋の扉が開いた。
「…先生」
先生『あ、目覚めた?』
「あたし…」
先生『びっくりしたよ!何か下で騒いでると思ったら原中さんが倒れてたからさ!救急車に俺もついて乗ってきた』
「………」
先生『どうした?きつい?とりあえず、貧血気味でもあったみたいだから、点滴してもらってるけど、どこか痛む?』
「子宮が…」
先生『子宮?生理痛?』
「今生理中じゃない。何か、すごく痛い」
先生『そっか、じゃあ、あと20分くらいで点滴終わるから一緒に産婦人科に行こう』
「え、でも」
先生『一応原中さんのお母さんには連絡したよ。今出張で長崎に行ってるんだってな。今こっちに帰ってきてるみたいだよ』
「また、迷惑かけちゃった、お母さんに」
先生『原中さんのことが大事なんだよ。原中さんも自分の体を大事にしてな。まだお母さん、こっちに来るのに時間かかると思うから、一緒に産婦人科行ってよう』
「うん…」
先生の微笑みに、心が安らいだ。
「ねぇ、先生」
先生『ん?』
「あたしもうだめだ」
先生『何が?』
「勇治に電話しても出なかったし、かけ直してもくれなかった。今日も学校行くとき、迎えにきてくれなかった。それで、辛くて、学校サボっちゃった」
先生『そっか』
「あたしどうしたらいい?」
先生『どうしたらって、原中さんはどうしたいの?』
「…分からない」
先生『…原中さんは、K高校志望だったよね』
「あー…まぁ…一応」
先生『正直、今のままじゃ厳しいよ』
「分かってるよ」
先生『どうしてK高校に行きたいの?』
「勇治と…同じ高校に…でも、もういいの。あたし、S高校に行く」
先生『S高校って、だいぶ下げたな(笑)』
「バカだし、仕方ないじゃん。K高だって、勇治と同じ高校がよかったってだけだし、行く理由なんてもうないよ」
先生『それで、塾こないの?』
「え?」
先生は、知らないの?
塾クビになったんだよ、あたし。
塾長単独の判断?!
そう思うと、イライラしてきた。
先生『どうした?』
「あのハゲ!!!」
先生『え?!俺?!まだハゲてねぇよ!(笑)』
「先生じゃないよ!塾長だよ!あんのハゲ、まじ死ねよ!!」
先生『そんなこと言わないの(笑)俺もあんま好きじゃねぇけど、雇ってもらってる身だからな(笑)何かあったの?』
「あいつ、塾の評判落ちるからってあたしに塾辞めてくれって言ってきたんだよ?!」
先生『は?』
先生の顔が一気に真顔になった。