『一生のお願い、聞いてよ。』


タクシーが停まった。

気付けばもうあたしの家の目の前。


『ここ?』

「あ、うん…」


りょうくんがお金を払ってくれた。


あたしとりょうくんは無言のままタクシーを降りた。



『りょう、ゆっくり休むんだよ』

「うん…」

『家、入りな!』

「…………」

『あ、これ』


りょうくんはポケットから紅茶花伝を取り出した。

『あ、ぬるい(笑)』

「…………」

『えーとー』

りょうくんはきょろきょろしている。


『あ、ちょっと待ってね!』

りょうくんは自販機を見つけて走って行った。

小走りでりょうくんが戻ってくると、はい、と新しい冷たい紅茶花伝を渡してきた。

黙ってそれを受け取った。


『それ飲んで休め!』

「りょうくんの傷…あたしのせいで…」

『何言ってんの?(笑)だから元カノだって(笑)りょうが気にする傷じゃないよ。今は自分のことだけ考えてればいいんだよ。夏休みだろ?学校もないだろうし、ゆーっくり休むんだぞー!』

「でも…」

『でもじゃねえよ(笑)早く帰れ、りょうが家に入るまで心配だからここで待ってるから』

「りょうくん」

『ん?』

「………」

『どした?』

「な、なんで金髪なの?高校生でしょ?」

『ん?あぁ、俺も夏休みだから(笑)』

「そ、そっか」

『うん(笑)』

「………」

『ほら、帰りな?』


まだ一緒にいたいなんて、言えない。



「ありがとう」

『おう!』


りょうくんの明るい笑顔を見て、あたしは家に入った。

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