『一生のお願い、聞いてよ。』

ストラップを手にとって、ストラップを見つめながら玄関に戻ると、ポストに目が行った。


微妙に開いてるポストに違和感があった。


(あのヤンキーたち、あたしの家知ってるし…何か危ないものとか入ってたら…)


あたしは恐る恐るポストを開けた。




「え…?」



ポストの中にはあたしのケータイと、紅茶花伝。


「りょうくん…?」


周りを見渡したけど、人影はなかった。



「りょうくん!!」



叫んで見たけどもちろん返事はない。


絶対近くにまだいる。


走ろうとしたけど、下半身がひどく痛んで走れず、はや歩きで大通りまで歩いたけど、やっぱり見当たらなかった。


家に戻って、昨日の紅茶花伝の隣に今日の紅茶花伝を並べた。


りょうくんがケータイ持っててくれたんだ…


ケータイを開くと、小さく折られたレシートが落ちてきた。


レシートは、昨日アイスを買いに行ったコンビニのレシート。

タバコをひとつ買っていた。


「りょうくん…高校生なのにだめじゃん(笑)」

レシート一枚で笑えるなんて、初めてだった。


うっすらと後ろの文字が見えた。


「ん?」


レシートを裏返すと下手な字。



『ケータイ、ポケットに入れたまま、返すの忘れてた!ごめんな!ゆっくり休めよ。りょう』



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