『一生のお願い、聞いてよ。』




気付くと、もうお昼だった。

なんとなく、外へ出てポストを開けた。


「え…」



ポストの中には、紅茶花伝とタバコが一箱入っていた。


レシートが見当たらない。

他の手紙類ももう入ってるから、埋もれたのかも。



慌ててポストの中身を全部出した。


すると、小さなレシートがヒラヒラと落ちてきた。


レシートを広げると、中からもうひとつ小さな紙が落ちてきた。


拾おうとしたら、風で溝の小さな穴にストンと落ちてしまった。


何だったんだろう。

気になって穴を覗いたけど真っ暗で見えないし、手も届かなかった。



諦めて、レシートを広げた。



『辛い話をさせてしまってごめん。話を聞いて少しでも励まされたらって思ったんだ。でも、りょうを傷付けたのは変わりないから、ここにくるのはもうやめるよ。りょう』



ほら、やっぱり。

引いたんでしょ。

理由ばっかりつけて。

なんなの…。

もう…最悪…。





部屋に戻って、並んだ紅茶花伝と『白い恋人』の缶を眺めた。

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