紫陽花ロマンス


片手で光彩を抱っこしながら、帰りの支度を始める。登所する時に持ってきた大きめのトートバッグに、荷物を詰め込んでいく。


汚れたオムツはビニール袋に入れて家庭に持ち帰り、食事とオヤツの時に使ったエプロンとお手拭き、お昼寝用のシャツも忘れずに。


シーツを汚してしまったら、シーツも持ち帰らなければいけない。家に帰ったらすぐに洗って、翌日には持って行かなければ。今日は汚していないようだから一安心。


もうすぐ水遊びが始まるから、水着やタオルも要るんだ。また荷物が増えるなあ……と考えながら、ウォールポケットに入った連絡ノートを取って、掲示板を確認して終了。


帰りの挨拶をしようと教室を覗いた。


教室には、光彩よりも大きい年長さんの女の子が二人と年中さんの男の子が一人。ちょうど西条先生に絵本を読んでもらうところだったらしい。


「みいちゃん、バイバイ」


年長さんのお姉ちゃんたちが手を振ってくれるのに、光彩はぼんやりとしたまま。仕方なく私が光彩の手を取り、振って返す。


「バイバイ、また明日ね」

「みいちゃん、可愛いー!」


両頬に手を当てて笑う二人を見ながら西条先生が、


「さようなら、光彩ちゃん。また明日ね」


と、にこりと笑って手を振ってくれた。


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