紫陽花ロマンス


ところで、朱理ちゃんの仕事はどうなんだろう。弟からは、土日休みのT重工の協力会社に勤めているとしか聞いていない。


「朱理ちゃんのお仕事は土日休みなのよね? 休日出勤しなきゃいけないこともあるの?」


二人の会話に割って入った。
すると朱理ちゃんは、ぱっと笑顔を見せる。


「いいえ、私は休日出勤なんてないんです。お姉さんはT重工に勤めてたんですよね? 長門エンジニアリングって知ってます? 私、そこに勤めてるんですよ」

「ああ、知ってる。設計の会社よね? そっか、私は企画部にいたから、朱理ちゃんの会社とはあまり関わりはなかったけど知ってるよ」


知っている会社名だったから、何だか嬉しくなった。勤めていた頃を思い出すのはあまり好きじゃないけど、懐かし気持ち。


「やっぱり、この辺りはT重工で働いてる人が多いですよね」

「そうだよね、ご近所さんにも必ず居るもん。T重工じゃなくても協力会社に働いてるって人が」


朱理ちゃんと顔を見合わせて笑った。
なんだか仲間意識みたいなものを感じる。



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