紫陽花ロマンス


「おはよう、片付け済んだ? みいちゃんは保育所?」


電話の向こう、母の明るく弾んだ声が響いた。


「おはよ、みいちゃんはもちろん保育所だよ、朝からご機嫌だね」

「ご機嫌じゃないよ、昨日言い忘れてたんだけど、明後日から二泊三日で旅行に行くの、お父さんと二人で」


ご機嫌な訳はコレだ。


「明後日って、水曜日?」

「そう、だから雨が降ってもみいちゃんのお迎え行けないよ、ごめんね。でも一応土日は避けたのよ」

「いいよ。今度の土曜日は休みだけど、日曜日は出勤だから預かってね」

「はいはい、わかってるわよ」


一応、光彩のことを考えてくれているからいいや。土日に計画するなら、まず私に仕事の予定を聞いてくれるはず。


両親は年に一度は旅行に出かけてる。たいてい父が平日に休暇を取って。仲が良くて羨ましい。


「雨は降らないと思うから、気にしないで楽しんできてよ。お母さんは晴れ女だし」

「旅先は晴れてても、この辺りは大雨だったりして」


心配そうに母は言う。
今日中に折り畳み傘を買っておかなければ。

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