はじまりは政略結婚
「は⁉︎ け、結婚⁉︎」

とんでもないことをサラリと言ってのける智紀に、何かのドッキリなのかと、思わず辺りを見回した。

だけど、周囲の人たちも口を開けて呆然としていて、誰にとっても驚きの行動らしい。

そんな周囲も私もよそに、口角を上げた智紀は、次には内ポケットから指輪を取り出していた。

照明のせいもあるのだろうけど、中央に飾られている指の幅くらいの大きなダイヤが、眩しいくらいに輝いている。

二つ爪に支えられているダイヤの存在感に、ア然としてしまった。

お母さんですら、こんなに大きなダイヤは持っていない。

智紀は、私の左手を優しく取ると、その薬指に指輪をスルリとはめたけれど、どうしてサイズが分かっていたのか、ピッタリ過ぎて不気味だ。

「由香、突然で驚いただろうけど、返事を聞かせてくれるだろ?もちろん、いい返事を」

ニヤッとした笑顔を浮かべ、智紀は返事を迫ってきたのだった。
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