はじまりは政略結婚
「私を変える……?」

「ああ。お前にとっては迷惑な話かもしれないけどさ、変わりたくないとも思ってないように見えて」

さすが、その鋭さには感心すると同時に、見透かされているようで恥ずかしい。

「智紀の言う通りよ。元々、そんな華美な家庭じゃなかったし、私自身の性格もあるんだと思う。だけど、変わってみたいと思ったことも事実だし、それがうまく出来なかったのも本当」

ポロポロとこぼれてくる言葉は、智紀に聞いて欲しいからだと、今ようやく分かってきた。

私をずっと見てくれていて、こうやって気持ちを伝えようとしてくれる、そんな彼になら自分の話も出来ると思えてきたのだった。

「私ね、本気で好きになって付き合った人がいるの。もう、数年前の話。だけど彼から、地味な私と並ぶと恥ずかしいって言われたり、社長令嬢と付き合っても得することがなかったって言われたりで、散々だった思い出があるんだ。それが、今でもトラウマなの」

兄にすら、きちんと話せなかったことだからか、話し終えた私の心は少しスッキリしていた。
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