はじまりは政略結婚
だけど、私の返事は智紀を落ち込ませてしまったようで、私から離れるとソファーに座り直して肩を落としている。

その姿がいつもの彼とは違い過ぎて、私も慌てて隣に座り直すと顔を覗き込んだ。

すると智紀は、うなだれたまま私に視線を向けたのだった。

「それくらい好きなんだよ、由香のことが。政略結婚も、賭けみたいなところがあったんだ。もし、由香に拒まれたら諦めるつもりだったんだけど……」

「そうだったの?」

初めてのプロポーズの演出の時は、どこか脅迫めいたものを感じたから、智紀がそんな風に想ってくれていたなんて、思いもよらなかった。

だからか、彼の気持ちを知れば知るほど、戸惑いとギャップに気持ちがかき乱される。

「そうだよ。ようやく由香が心を開いてくれたのに、それを失うのは……嫌だな」

その後に、「自業自得なのかもしれないけど」と呟いた智紀が、なぜだか愛おしく感じてしまった。
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