はじまりは政略結婚
「うん。約束する」

私だって海里に会いたくないし、正直かなり気まずい。

きっと彼だって、私と顔を合わせれば思い出すだろうし、どんな反応を取られるのか不安だ。

それに私も、リアクションに困る。

「由香さんも、海里に会えばテンション上がるわよ。なにせ、本当に華があるから」

「は、はぁ……」

苦笑いを返しながらエレベーターに乗り込む間際、チラッと智紀に目を向けた。

相変わらず仏頂面で、機嫌の悪さがよく分かる。

だけど髪を切ったことで、本当に以前よりもいい意味で男前になっていて、私の胸はドキドキしていた。

それにしても、ヘアスタイル一つで印象は変わるもので、意外と知的な雰囲気を持っている人なんだと、初めて知った気がする。

そもそも、なんで突然イメチェンをする気になったのか、理由がかなり知りたい。

そんなことを考えながら見つめていると、智紀がふとこちらを見て目が合った。

やっぱり苦い顔をしていたけど、優しく髪を撫でられて一瞬、海里が頭から消えていたのだった。

それよりも、早く二人きりになりたいと、思ってしまっていたから……。
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