はじまりは政略結婚
「少し調べれば分かるんだよ。あいつは、オレの事務所とはライバル関係にあるところに所属だから、いろいろリサーチ済なんだ」

冷たい言い方に圧倒されて、口をつむぐと同時に、兄の言葉を思い出していた。

私との結婚の先にある、業務提携の中にあるモデル起用の拡大。

その準備は、知らないところで着々と進められていて、現実を思い知らされた気がする。

「さすがだね、智紀。海里のプライベートまで突き止めるなんて」

不安は的中し、誤魔化すことも出来るわけがない。

私たちの交際は、表向き誰も知らないことだったし、当時は彼のプライベートを気にするマスコミもいなかった。

それなのに、その事実を突き止めた智紀を怖くも感じる。

「あいつに未練があるのか?」

険しい表情を崩さない智紀は、静かにそう言った。

「あるわけないよ。そもそも、海里なのよ? 私のことを、さんざん言った人は。トラウマでも、未練はない」
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