はじまりは政略結婚
それが海里だということは、確かめなくても分かる。

一瞬にして緊張が走り、ゆっくりとそちらへ向かった。

それにしてもBGMがうるさくて、耳障りにすら感じるけど、だからこの場所を選んだのかと妙に納得だ。

これだけポップな洋楽が流れていると、普通の会話なら周りに聞こえないはずだから。

「由香、ちゃんと来てエライじゃないか」

サングラスとマスクのせいで表情は分からないけど、口調で半ば私を見下しているのが分かる。

「そっちが脅すからでしょ? で? 証拠って何? 私、早く帰らないといけないから」

とりあえず向かいに座ると、男性の店員がさっそくオーダーを聞きにくる。

だけど、のんびり食べる気もない私は、アイスコーヒーだけを頼んだ。

本当は、洋風の創作料理の店でなかなか美味しいから、料理を堪能したいところだけど、海里を前に何も食べる気はしなかった。

「この写真。これが証拠だ」
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