はじまりは政略結婚
「本気だよ。だから、あの写真を見せた。本当は、どこかへ売り込もうとか思っているわけじゃないんだ。ただ、由香の分からないところで、二人は何をしていたか知って欲しかったんだよ」

だからそれが、『脅し』というものじゃないの?

やっぱり信用できない海里に、私は疑いの眼差しを向ける。

すると彼は、フッと苦笑いをした。

「簡単に、信じてもらおうとは思ってないよ。一応、この写真は『人質』に取っておくから、これからも会ってくれないか?」

最後はニコリと笑った海里に、私はやっぱり恐怖を感じて首を縦にできない。

すると、タイミングがいいのか悪いのか、智紀から電話がかかってきたのだった。

とはいえ、ここで出ることはできない。

海里のここまでのノリなら、電話を代わられかねないからだ。

仕方がないから、そのままやり過ごすと、バックから財布を取り出し、アイスコーヒー代をテーブルに置くと立ち上がった。

「良かったな、副社長から電話で。それと、コーヒー代はいいよ」

さっきの笑顔はどこへやら、けだるそうな表情になった海里は、私にお金を返そうとする。

「いいわよ。数百円で、借りを作らされたんじゃ、たまったもんじゃないから。それと、人の連絡先を勝手に探るのはやめて」

それだけ言い放つと、足早に店を出たのだった。
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